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組曲≪ペール・ギュント≫第二組曲 第4曲『ソルヴェイグの歌』歌詞と解説(作曲:エドヴァルド・ハーゲループ・グリーグ)

Edvard Hagerup Grieg
Op.55, No.4 Solvejgs Lied from ≪Peer Gynt≫ Suite No.2

Kanske vil der gå både Vinter og Vår,
og næste Sommer med, og det hele År,
men engang vil du komme, det ved jeg visst;
og jeg skal nok vente, for det lovte jeg sidst.
A_

Gud styrke dig, hvor du i Verden går,
Gud glæde dig, hvis du for hans Fodskammel står !
Her skal jed vente till du kommer igjen;
og venter du hisst oppe, vi træffes der, min Ven.
A_
             〔 原詩 : Henrik Ibsen 〕
冬は逝きて 春過ぎて 春過ぎて
真夏も去りて 年経(ふ)れど 年経れど
きみが帰りを ただわれは ただわれは
誓いしままに 待ちわぶる 待ちわぶる
ああ

生きてなお 君 世にまさば 君 世にまさば
やがてまた逢う 時や来(こ)ん 時や来ん
天(あま)つみ国に ますならば ますならば
かしこにわれを 待ちたまえ 待ちたまえ
ああ

 

ノルウェーの文豪イプセンは伝説をもとに劇詩 「ペール・ギュント」 を書きました。
イプセンの依頼により、グリーグは劇音楽 「ペール・ギュント」 を作曲。

23曲からなりますが、独唱あり合唱ありで通常の演奏会には向かないため、後にオーケストラの曲だけ8つ選んで、それぞれ4曲づつにまとめ、

第一組曲(1.朝  2.オーゼの死  3.アニトラの踊り  4.山の魔王の宮殿にて)
第二組曲(1.イングリッドの嘆き  2.アラビアの踊り  3.ペール・ギュントの帰郷  4.ソルヴェイグの歌) と名付けました。

第一組曲は音楽の授業で聞いた方も多いのではないでしょうか。それくらい有名な曲です。

 「ペール・ギュント」 のあらすじ

※  私が戯曲を読んでまとめたので、誤解している部分があるかもしれません。
   場面も話の展開もよく飛んで、分かりづらかったので・・・雑学程度にお読みください。

ノルウェーの二十歳の若者ペール・ギュントは夢想家で乱暴者。
もとは村一番の物持ちだったのに、父のヨン・ギュントは飲んだくれ、ひとり息子のペールは
遊んでばかりなので、今はすっかり落ちぶれて、母とふたりで貧乏暮らし。
それでもいつか王様になる、皇帝になると空想ばかり言っています。

そんなペールに母オーゼはため息をついて、嘆きました。
「となり村のイングリッドと結婚してくれれば・・・。
あの娘にはどっさり財産がある」
イングリッドはペールに首ったけだった娘。でも明日、他の男と結婚します。
それを聞いたペールはオーゼが止めるのも聞かず、となり村目指して飛び出していきました。

結婚式の会場では、みんながダンスを踊っていますが、娘は誰もペールを相手にしません。
そこに新しく移ってきた家族がやってきて、つつましく、賛美歌の本をハンカチに包んだ金髪の娘
ソルヴェイグにペールはすっかり魅せられてしまいます。
一方、花嫁のイングリッドは花婿を嫌って納屋に閉じこもってしまい、
困った花婿はペールに助けてくれたら雄ウシをやると言いました。
頼みを聞いたものの、ペールは花嫁を盗んで険しい山をよじ登って逃げてしまいます。
しかし次の朝にはもうイングリッドに飽きて、村へと追い返してしまいました。

イングリッドとわかれたペールは山腹で緑衣の女に出会いました。
緑衣の女は山の魔王の娘で、自分は王子だと嘘をついたペールとすっかり意気投合し、
ふたりは娘が呼び出した古ぼけた袋を鞍にした巨大なブタに乗って魔王の城へ向かいます。
城では人間が魔王の最愛の娘をたぶらかしたと大騒ぎ。
トロルのドヴレ王は彼らをおさめると、娘との結婚の条件を次々と出します。
それを受けていくペールですが、左眼を傷つけ、右目をえぐるという条件は受け入れられず
自分は王子ではないと明かしたので、魔王の娘は気絶し、皆はペールに襲いかかります。
逃げ回るペールが捕まったそのとき、遠くで教会の鐘の音が響き、それを聞いた皆は
あわてふためき、叫びながら逃げていきました。そして大広間も城もすべてが消え去りました。

深い森の中に建てた小屋にペールは住んでいます。
そこへソルヴェイグがやってきました。すべてを捨ててきたという彼女の言葉に喜んだのも
束の間、緑の衣を来た年配の女(魔王の娘)がペールの息子だという子を連れて現れます。
闇のなかで聞いたボェイグ(民間伝説に登場する猟師ペール・ギュントが山で出会うトロルの名。
巨大で目に見えず、くねくねした存在)のまわり道しろという助言を思い出したペールは
ソルヴェイグに、待つんだよ、と言い残して去っていきました。

死の床につく母オーゼのもとにペールが帰ってきます。
ペールの話を聞きながら、オーゼは息を引き取りました。
小作人の女房に葬式を頼むと、ペールは海の向こうへ旅立って行きます。

時は過ぎ、五十歳になったペールはモロッコにいます。
奴隷売買や偶像の輸出などで富を得、しゃれた旅行服に金縁の鼻眼鏡をチョッキにぶら下げた
立派な中年紳士となったペールは海岸で4人の男たちと酒を飲んでいます。
沖合いにとまっているペールの船には全財産が積まれていますが、4人の男たちは
ペールが酔いつぶれたのを見ると、その船を奪っていってしまいました。
驚き慌てるペールですが、船から火が吹き出し、爆発したのを見て、幸運に感謝します。

こうして財産を失ったペールは、ライオンにおびえ、サルにおしっこをひっかけられるなど
散々な目に会いながら、ある洞窟にたどりつきました。
そこには盗賊が盗んだものの、追っ手から逃れるためにやむなく置き去りにした
皇帝の白馬や服、宝石、剣がありました。
それらをすっかりいただいたペールは馬にまたがり、砂漠へ駆け出していきました。

とあるオアシスにたつ、アラビア人の酋長のテント。
ペールはそこで遠くからやってきた偉大なる預言者と思い込まれ、大切に扱われています。
テントのなかでは酋長の娘アニトラと少女たちが彼のために踊り歌っています。
アニトラにすっかり心奪われたペールは月夜の晩、彼女をさらっていきますが、
結局うまくだまされ、馬も宝石も奪われて砂漠に置き去りにされてしまいました。

夏の日、遥かな北の国の深い森のなかにある小屋。
金髪の美しい中年の女性が戸外の日向に座り、糸を紡ぎながら歌っています。

「冬が去り、春も行こうとしている、来る夏もまた同じこと。
そうして一年、また一年とすぎていく。
でもあなたはいつか帰ってくる、私はそれを知っているから・・・。
だから私は待っている。 昔、私が誓ったように。

どこへあなたが行っても、神の励ましがありますように。
その足台にあなたが立っているのなら、神の慰めがありますように。
あなたが帰ってくるまで私はここで待っている。
もしあなたが天上で待っているのなら、そこで会いましょう、わが友よ!」

 ※  最後の “友” は男友達の意ですが、この場合、彼氏という意味合いだと思われます。

エジプトに渡ったペールは、そこで出会ったカイロの精神病院の院長に皇帝と間違われ、
病院へ連れて行かれます。
院長もまた精神を病んでおり、院内の狂人たちにペールを皇帝として紹介します。
そのなかの一人が目の前で自殺したのを見て、ペールは気絶して倒れてしまいました。

そして月日は流れ、アメリカで金鉱を掘り当てたペールは大金持ちになりました。
ある日故郷に帰りたいと思い立ち、いてもたってもいられなくなったペールは
船に全財産を積みこむと、パナマからノルウェー目指して旅立ちます。
しかしノルウェーの沖まで来たとき、嵐に遭い、船は難破。 転覆したボートの竜骨を
料理番(コック)と奪い合ったペールは彼を犠牲にし、ひとりだけ生き残ります。

無一文の老人となったペールが自分の家にたどりつくと、そこでは競売が行われており、
家財道具が次々と安い値段で売り払われていくところでした。
ペールは自分の家から去っていきます。

森の小屋のなかでソルヴェイグが歌っています。
「聖霊降臨(ペンテコステ)前夜祭の用意はみんなできました。
遠く離れし愛し子よ、すぐに帰ってきますか?
負荷がそんなに重ければ、休み休みくるがいい。
私はまだまだ待ちましょう。
むかし約束したように。」

荒野でペールはボタン作りの男(悪魔?)に出会い、すぐにでも魂をもらっていくと言われます。
一流の罪人でもなく、かといって昇天するほど軽くない自分の魂は溶かされて消えてしまうことを
知ったペールはボタン作りの、あんたは今までだって一度もあんた自身じゃなかったから
綺麗さっぱり消えても変わらない、という言葉に反抗して自分自身を証明しに行きます。

零落(おちぶ)れたドヴレ王(山の魔王)に出会ったペールは、彼から証明をもらおうとしますが、
王はペールは “汝自身に満足せよ” というトロルのモットーにしたがって生きてきたと答え、
人間としてのペール自身を証明するのを拒みます。

十字路でふたたびボタン作りに会ったペールは今度は自分が一流の罪人であることを証明しようとし
道で出会った法衣を着た痩せた男(悪魔)に保護を求めますが、断られてしまいます。
次の十字路でボタン作りの男が時間切れだとせまるなか、朝の祈りの鐘が鳴り、夜明けを迎える頃
見覚えのある小屋にたどりつきます。 なかから流れてくる歌声を聞いたペールは
まわり道はもう終わりだ、おれの罪の一覧表はそこにある、と小屋に駆け寄ります。
同時に白髪になった今でもペールの帰りを待ち続けているソルヴェイグが戸口に現れました。
教会に行く服装で、ハンカチに包んだ賛美歌の本を手に、杖をついて。
ペールは敷居に身を投げ出して叫びます。
「数え上げろ、どんなに多くの罪をおれが犯したか」
「何の罪も犯してないわ、大切な私の人!」
ボタン作りが家の後ろで、「罪の一覧表は? ペール・ギュント」 と尋ねます。
それを聞いたペールは 、おれの罪をわめき立てろ! と言いますが、
ソルヴェイグはペールのそばに座ってこたえました。
「あなたは私の一生を美しい歌にしたわ。
神の御恵みがありますように、あなたは帰ってきたんですもの!
聖霊降臨祭(ペンテコステ)の朝の再会に、どうか祝福がありますよう!」
「じゃ、おれはおしまいだ! おまえに謎が解けない限り!」
「おっしゃいな」
「よし! 言おう! ペール・ギュントがあれ以来どこにいたか言えるか?
運命のしるしを額にくっつけて、飛び出したはずの神の御心に囲まれ、どこにいたんだ?」
「あら、その謎はやさしいわ」  ソルヴェイグは微笑みました。
「じゃ、言ってみろ。 おれはどこにいた、おれ自身として、全人として、真実の男として?
どこにいた、神のしるしを額の上にくっつけて?」
「わたしの信仰、わたしの希望、そして、わたしの愛の中よ」
一条の光がペールの上にさします。
「ああ、隠してくれ、おれを隠してくれ、その中へ!」
ペールはソルヴェイグにしがみつき、その膝に顔を隠します。
長い沈黙の後、太陽が昇り、彼女は静かに子守唄を歌いはじめました。
「お眠り、いとしい私の子! 籠を揺らしましょう、あやしましょう。 
・・・(後略)」

「最後の十字路で会うんだぜ、ペール、 そうすりゃわかる。 どうなるか、
―――これ以上は言わずにおこう」 
家の後ろからボタン作りの声がします。

いよいよ明るくなる朝の光の中で、ソルヴェイグはさらに声高く歌います。
「籠を揺らしましょう、あやしましょう、 ―――
眠ってそして夢をお見、坊や、いとしいわたしの子!」