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『野ばら』歌詞と解説(作曲:フランツ・ペーター・シューベルト)

Franz Peter Schubert   Heidenröslein  Op.3-3 D.257

Johann Wolfgang von Goethe, 1749-1832
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ 作詞

 1821年出版。1815年の数多いゲーテ歌曲のひとつ。
歌詞はドイツの民謡 『あれ野のばら』 をもとにして、ゲーテが民謡風に歌った、 1771年の作品で、ウェルナーが曲をつけたものも有名です。
1770年、当時21歳の学生だったゲーテは友人に連れられて、ゼーゼンハイムという 田舎の村の牧師の家を訪れました。
そのとき紹介された、牧師の家の三女、 ブロンドのおさげ髪のフリーデリーケにゲーテはひとめぼれし、やがてふたりは恋に落ちました。
フリーデリーケは18歳。ふたりの交際は、ほぼ1年にわたって続きましたが、 大学を卒業したゲーテは何もいわず彼女のもとを去っていってしまいました。
「野ばら」 が書かれたのはその後のこと。
残されたフリーデリーケはずっと独身のまま、その生涯を終えたそうです。
清らかに咲くバラが無情にも折られてしまう詩は、ゲーテが恋人を裏切り、 たぐいまれな美しい心を深く傷つけてしまった自責の念がこめられていますが、 シューベルトの曲は暗さを感じさせず、かわいらしい、親しみやすさにあふれています。

 <ドイツ語歌詞>  <日本語歌詞>
ザー アイン クナープ アイン レースライン シュティーン
Sah ein Knab’ein Röslein steh’n,
童(わらべ)は見たり
レースライン アウフ デァ ハイデン
Röslein auf der Heiden,
野中の ばら
ヴァール ゾー ユング ウント モルゲン シェーン
war so jung und morgen schön,
清らに咲ける
リーフ エァ シュネル エス ナー ツー ゼィーン
lief er schnell, es nah zu seh’n,
その色 愛(め)でつ
ザース ミット フィーレン フロイデン
sah's mit vielen Freuden.
飽(あ)かず ながむ
レースライン レースライン レースライン ロート
Röslein, Röslein, Röslein rot,
紅(くれない)におう
レースライン アウフ デァ ハイデン
Röslein auf der Heiden.
野中の ばら
   
クナーベ シュプラッハ イヒ ブレッヒェ ディヒ
Knabe sprach: ich breche dich,
手折(たお)りて行(ゆ)かん
レースライン アウフ デァ ハイデン
Röslein auf der Heiden!
野中のばら
レースライン シュプラッハ イヒ シュテッヒェ ディヒ
Röslein sprach: ich steche dich,
手折らば手折れ
ダス ドゥー エィーヴィヒ デンクスト アン ミッヒ
daß du ewig denkst an mich,
思い出ぐさに
ウント イッヒ ヴィルス ニヒト ライデン
und ich will's nicht leiden.
君を刺さん
レースライン レースライン レースライン ロート
Röslein, Röslein, Röslein rot,
紅(くれない)におう
レースライン アウフ デァ ハイデン
Röslein auf der Heiden.
野中の ばら
   
ウント デァ ヴィルデ クナーベ ブラッハ
Und der wilde Knabe brach
童は折りぬ
ス レースライン アウフ デァ ハイデン
's Röslein auf der Heiden.
野中の ばら
レースライン ヴェィールテ ズィヒ ウント シュタッハ
Röslein wehrte sich und stach,
手折りてあわれ
ハルフ イーン ドホー カイン ヴェィ ウント アッハ
half ihn doch kein Weh und Ach,
清らの色香
ムゥスト エス エィーベン ライデン
mußt' es eben leiden.
永久(とわ)にあせぬ
レースライン レースライン レースライン ロート
Röslein, Röslein, Röslein rot,
紅(くれない)におう
レースライン アウフ デァ ハイデン
Röslein auf der Heiden.
野中の ばら

 

《直訳》

少年は荒地に一輪の小さなばらが立っているのを見た
荒地のばらは若々しく 朝のように美しかったので
近くで見ようと走ってきて 喜びに胸をふくらませて眺めた
ばら、ばら、赤い小さなばら 荒地に咲く小さなばらよ

少年は言った 「僕は君を折るよ 荒野に咲く小さなばらよ!」
ばらは言った 「私はおまえを刺すよ おまえがいつまでも私を忘れられないように
それに折られるなんて 私はいやだわ」
ばら、ばら、赤い小さなばら 荒地に咲く小さなばらよ

乱暴な少年は折ってしまった 荒野に咲く小さなばらを
ばらは抵抗して刺したけれど 痛みや嘆きのかいもなくて
結局は折られるままになるしかなかった
ばら、ばら、赤い小さなばら 荒地に咲く小さなばらよ