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『ます』歌詞と解説(作曲:フランツ・ペーター・シューベルト)

Franz Peter Schubert   Die Forelle  Op.32 D.550

Christian Friedrich Daniel Schubart, 1739-1791
クリスティアン・フリードリヒ・ダニエル・シューバート 作詞

1817年作。
清らかな川を泳ぐマスが悪賢い釣り人にかかって釣り上げられてしまうさまを見て
いたましく思う歌詞ですが、歌詞に使われていない原詩の最後の一節では、
魚の運命になぞらえて娘たちに誘惑から身を守るよういましめています。
シューベルト自身気に入ったのか、この旋律は2年後の1819年に作曲した全5楽章からなる
ピアノ五重奏曲イ長調の第4楽章の変奏曲主題に取り入れられており、そのためこの五重奏曲は
《ます》 の副題で広く知られています。

<ドイツ語歌詞> <日本語歌詞その1> <その2>
イン アイネム ベッヒライン ヘッレ
In einem Bächlein helle,
清き流れを 清き流れを
ダー ショス イン フローエル アイル
da schoß in froher Eil
光映(は)えて 光映えて
ディー ラウニシェ  フォーレレ
die launische Forelle
ますは走れり 矢のごと走る
フォーリベル ヴィー アイン プファイル
vorüber wie ein Pfeil.
征矢(そや)のごとく ますのありき
イッヒ シュタント アン デム ゲシュターデ
Ich stand an dem Gestade
しばしたたずみ 歩みをとどめ
ウント ザー イン ジュッセル ルー
und sah in süßer Ruh'
われ眺めぬ われ眺めぬ
デス ムンテルン フィッシュラインス バーデ
des muntern Fischleins Bade
輝く水に 輝く水に
イム クラーレン ベッヒライン ツー
im klaren Bächlein zu,
躍る姿 躍る姿
デス ムンテルン フィッシュラインス バーデ
des muntern Fischleins Bade
輝く水に 輝く水に
イム クラーレン ベッヒライン ツー
im klaren Bächlein zu.
躍る姿 躍る姿
     
アイン フィッシェル ミット デル ルーテ
Ein Fischer mit der Rute
岸にうかごう 岸にたたずむ
ヴォール アン デム ウーフェル シュタント
wohl an dem Ufer stand,
魚釣人(うおつりびと) 漁夫見まうく
ウント ザース ミット カルテム ブルーテ
und sah's mit kaltem Blute,
巧みこらして 魚(うお)とるすべに
ヴィー ズィッヒ ダス フィッシュライン ヴァント
wie sich das Fischlein wand.
思案なせど あぐみありき
ゾー ランク デム ヴァッセル ヘッレ
So lang' dem Wasser Helle,
水の清きに 水の清きに
ゾー ダハト イッヒ ニヒト ゲブリヒト
so dacht ich, nicht gebricht,
影はしるし 影はしるし
ゾー フェンクト エル ディー フォーレレ
so fängt er die Forelle
糸を入るれど 糸を投(な)ぐれど
ミット ザイネル アンゲル ニヒト
mit seiner Angel nicht,
魚(うお)かからず 魚(うお)よらざり
ゾー フェンクト エル ディー フォーレレ
so fängt er die Forelle
糸を入るれど 糸を投ぐれど
ミット ザイネル アンゲル ニヒト
mit seiner Angel nicht.
魚かからず 魚よらざり
     
ドッホ エントリッヒ ヴァルト デム ディーベ
Doch endlich ward dem Diebe
心あせりて 心あせりて
ディー ツァイト ツー ランク
die Zeit zu lang.
しれもの しれもの
エル マハト ダス ベッヒライン テュッキッシュ トリューベ
Er macht das Bächlein tückisch trübe,
やにわに川水を やにわに川水を
ウント エー イッヒ エス ゲダハト
und eh ich es gedacht,
かきにごしつ かきにごしつ
ゾー ツックテ ザイネ ルーテ
so zuckte seine Rute,
竿うち込めば 竿うち込めば
ダス フィッシュライン ダス フィッシュライン ツァッペルト ドラン
Das Fischlein, das Fischlein zappelt dran,
ますは釣り上がれり ますは釣り上がれり
ウント イッヒ ミット レーゲム ブルーテ
und ich mit regem Blute
むごしとわれは むごしとわれは
ザー ディー ベトローグネ アン
sah die Betrogene an,
憤(いきどお)れど 憤れど
ウント イッヒ ミット レーゲム ブルーテ
und ich mit regem Blute
むごしとわれは むごしとわれは
ザー ディー ベトローグネ アン
sah die Betrogene an.
憤れど 憤れど

 

《直訳》 

明るく澄んだ小川に嬉々として身をひるがえし、ますが思いのままに矢のように泳いでいた。
私は岸辺に立って、快い安らぎを感じながら眺めていた。
澄み切った小川のなかで、魚が楽しそうに泳いでいるのを。

竿を持ったひとりの漁師が川岸にやってきて、魚がおどっている様子をひややかに眺めていた。
私は思った。水が澄んでいるかぎり、あの男の釣り針にますがかかることはよもやあるまいと。

だが、ついにその無情な男は待ちきれなくなって、狡猾にも小川をかき濁した。
そしてあっと思うまもなく、ぴくっと釣り竿の先が動くと、魚は針にかかって身をくねらせた。
私は胸がかきむしられる思いで、わなに落ちた獲物を見つめていた。

 

<原詩の4節目> 

あっているか自信はありません。

 
Die ihr am goldenen Quelle
Der sicheren Jugend weilt,
Denkt doch an die Forelle,
Seht ihr Gefahr, so eilt! 
Meist fehlt ihr nur aus Mangel
Der Klugheit, Mädchen, seht
Verführer mit der Angel!
Sonst blutet ihr zu spät!
 安穏な青春時代、
 黄金の泉のほとりにいる君たち、
 そのマスのことを考えなさい。
 危険と見たら、すぐに逃げるのです。
 君たちは、たいてい賢さが足らずに失敗する。
 娘たちよ、釣りざおを持った誘惑者に気をつけなさい。
 さもないと、血が流れてからでは遅いのですよ。