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作品29「3つの詩」 より第3曲『流浪の民』歌詞と解説(作曲:ロベルト・アレクサンダー・シューマン)

Robert Alexander Schumann  Zigeunerleben  Op.29,No.3 “Drei Gedechte”

Emanuel Geibel, 1815-1884
エマヌエル・ガイベル 作詞

 

ピアノ付四重唱曲として書かれた、《3つの詩 Drei Gedechte》(「田舎の歌」 「歌」 「流浪の民」) の第3曲にあたります。

1840年、30歳のシューマンは134もの歌曲を書き、多くの優れた作品を残したため、この年を“歌の年”と呼びますが、この有名な曲もそのひとつです。

変化に富んだ合唱の名曲で、ガイベルの詩のタイトル、“Zigeunerleben” は 「ジプシー暮らし」 を意味しており、 馬車に乗ってさすらうジプシーたちの一夜の情景を描いています。

 <ドイツ語歌詞>  <日本語歌詞>
イム シャッテン デス ヴァルデス イム ブッホェンゲツヴァイク
Im Schatten des Waldes, im Buchengezweig,
ぶなの森の葉がくれに
ダー レィークツ ズィヒ ウント ラッシェルト ウント フリュスタート ツゥーグライヒ
da regt's sich und raschelt und flüstert zugleich.
宴(うたげ)寿(ほが)い賑わしや
エス フラッケン ディー フラメン  エス ガォケルト デァ シャイン
Es flackern die Flammen, es gaukelt der Schein
松明あかく照らしつつ
ウム ブゥンテ ゲシュタルテン ウム ラォプ ウント ゲシュタイン
um bunte Gestalten, um Laub und Gestein.
木の葉しきて倨居(うつい)する
   
ダー イスト デァ ツィゴィナー ベヴェィークリッヒェ シャール
Da ist der Zigeuner bewegliche Schar,
これぞ流浪の人の群(むれ)
ミット ブリッツェンデム アォク ウント ミット ヴァレンデム ハール
mit blitzendem Aug und mit wallendem Haar,
眼(まなこ)光り 髪清ら
ゲゾィクト  アン デス ニーレス ゲハィリヒター フルート
gesäugt an des Niles geheiligter Flut,
ニイルの水に浸(ひた)されて
ゲブロィント フォン ヒスパニエンス ズゥートリッヒャー グルート
gebräunt von Hispaniens südlicher Glut.
きららきらら輝けり
   
                               ウムス フォイアー
                         Ums Feuer,
           たきび
          ウムス フォイアー ウムス ローデルンデ フォイアー
        Ums Feuer, Ums lodernde Feuer
    燃ゆる赤き炎(ほのお)
ウムス ローデルンデ フォイアー イン シュヴェレンデム グリューン
Ums lodernde Feuer in schwellendem Grün,
燃ゆる火を囲(かこ)みつつ
   
                            ウムス フォイアー
                       ums Feuer
                囲みつ
          ダー ラーガーン ウムス ローデルンデ フォイアー
        da lagern ums lodernde Feuer
  巡(めぐ)り 男(お)の子休らう
ダー ラーガーン ディー メナー フェアヴィルダート ウント キューン
da lagern die Männer verwildert und kühn,
強く猛(たけ)き男(お)の子休らう
   
ダー カォアーン ディー ヴァイバー ウント リュステン ダス マール
da kauern die Weiber und rüsten das Mahl,
女(おみな)立ちて急がしく
ウント フュレン ゲシュフティヒ デン アルテン ポカール
und füllen geschäftig den alten Pokal.
酒を汲みてさし巡る
   
ウント ザーゲン ウント リーダー エァトーネン イム ルゥント
Und Sagen und Lieder ertönen im Rund,
歌い騒ぐそが中に
ヴィー シュパニエンス ゲルテン ゾー ブリューエント ウント ブント
wie Spaniens Gärten so blühend und bunt,
南の国に恋(こ)うるあり
ウント マーギッシェ シュプリュッヒェ フュア ノート ウント ゲファール
und magische Sprüche für Not und Gefahr
悩みはらう願事(ねぎごと)を
フェアキュンデット ディー アルテ デァ ホルヒェンデン シャール
verkündet die Alte der horchenden Schar.
語り告ぐる媼(おうな)あり
   
シュヴァルツオイギゲ  メトヒェン   ベギネン   デン タンツ
Schwarzäugige Mädchen beginnen den Tanz.
愛(めぐ)し乙女舞い出(い)でつ
ダー シュプリューエン ディー ファッカィン イム ロートリッヒェン グランツ
Da sprühen die Fackeln im rötlichen Glanz.
松明あかく照りわたる
エス ロックト ディー ギタレ ディー ツィンベル クリングト
Es lockt die Gitarre, die Zimbel klingt.
管弦の響(ひびき)にぎわしく
ヴィー ヴィルト ウント ヴィルダー デァ ライゲン ズィヒ シュリングト
Wie wild und wilder der Reigen sich schlingt!
連れだちて舞い遊ぶ
   
ダン  ルゥーン ズィー エァミューデット フォム ネヒトリッヒェン ライン
Dann ruh'n sie ermüdet vom nächtlichen Reih'n.
すでに歌い疲れてや
エス ラオシェン ディー ブッホェン イン シュルゥマー ズィー アイン
Es rauschen die Buchen in Schlummer sie ein.
眠りをさそう夜の風
ウント ディー アオス デァ グリュックリッヒェン ハイマート フェアバント
Und die aus der glücklichen Heimat verbannt,
なれし故郷を離たれて
ズィー シャオエン イム トラォメ  ダス グリュックリッヒェ ラント
sie schauen im Traume das glückliche Land.
夢に楽土求めたり
ウント ディー アオス デァ グリュックリッヒェン ハイマート フェアバント
Und die aus der glücklichen Heimat verbannt,
なれし故郷を離たれて
ズィー シャオエン イム トラォメ  ダス グリュックリッヒェ ラント
sie schauen im Traume das glückliche Land.
夢に楽土求めたり
   
ドホ   ヴィー ヌゥン イム オステン デァ モルゲン エァヴァハト
Doch wie nun im Osten der Morgen erwacht,
東(ひんがし)空の白みては
フェアロッシェン ディー ショーネン ゲビルデ デァ ナハト
verlöschen die schönen Gebilde der Nacht,
夜の姿かき失せぬ
エス シャレット ダス マォルティア バイ ターゲスベギン
es scharret das Maultier bei Tagesbeginn,
ねぐらすてて鳥なけば
フォルト ツィーン ディー ゲシュタルテン ヴェア ザークト ディア ヴォーヒン
fort zieh'n die Gestalten, wer sagt dir wohin?
何処(いずこ)行(ゆ)くか流浪の民
Fort zieh'n die Gestalten, wer sagt dir wohin? 何処(いずこ)行(ゆ)くか流浪の民
Fort zieh'n die Gestalten, wer sagt dir wohin? 何処(いずこ)行(ゆ)くか流浪の民
Wer sagt dir wohin? 流浪の民

 

《直訳》

森の木陰に ブナの枝の間に 何かがかさかさと音をたて ささやく声がする
木の葉と岩のまわりに 色とりどりの姿がめぐり
そのまわりでは炎がまたたき 光がひらひら揺れている

そこにいるのは生き生きとしたジプシーの群れ
目は光り 髪は波打っている
聖なるナイル河のほとりで母の乳を飲み スペインの南国の陽にやかれている

豊かな緑のなかで炎が燃え上がり 荒々しい男たちが不敵に横たわる
女たちはしゃがんで食事の支度をし 忙しく古びた杯を満たしている
そして色とりどりの花が咲くスペインの庭園のように 輪をつくって唱えごとや歌を響かせる
そして老婆が危険や苦難のときのためのまじないの格言を告げると 群れはそれに聞き入っている

黒い目をした娘たちが踊り始める
たいまつの赤い輝きがきらめく
ギターが誘い シンバルが響く
踊りはどれほど荒々しくなっていくことか!

夜の踊りに疲れると ブナの葉ずれの音が彼らをまどろみへと誘う
そして幸福な故郷を追放された彼らは 夢のなかでその幸せな土地を見る

しかし今や東方に朝が目覚めると 夜の美しい姿は消える
夜明けとともに騾馬がひづめで地面を掻き さすらう姿は移動する
どこに行くのか 誰が君に告げる人がいようか?