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『主よ、人の望みの喜びよ』歌詞と解説(作曲:ヨハン・セバスティアン・バッハ)

カンタータ 第147番 《口と心と行いと生きざまもて》より
第6曲、第10曲コラール

Johann Sebastian Bach
Choral aus der kantate BWV 147 《Herz und Mund und Tat und Leben》

 

第6曲コラール (第一部 終曲)

 

 <ドイツ語歌詞>  <日本語訳>
ヴォール ミァ ダス イヒ イェィーズム ハーベ
Wohl mir, daß ich Jesum habe,
 イエスがいる私は幸せ
オー ヴィー フェステ ハルト イヒ イーン
O wie feste halt ich ihn,
 おお、何と固く私はイエスをだきしめることだろう
ダス エァ ミァ マイン ヘルツェ ラーベ
Daß er mir mein Herze labe,
 イエスは私の心を癒してくださる
ヴェン  イヒ クランク ウント トラォリヒ ビン
Wenn ich krank und traurig bin.
 病のときも 悲しいときも
イェィーズム ハープ イヒ デェィア ミヒ リーベット
Jesum hab ich, der mich liebet
 私にはイエスがいる イエスは私を愛し
ウント ズィヒ ミァ ツゥ アイゲン ギーベット
Und sich mir zu eigen gibet;
 私のためにご自身をも差し出してくださるのだ
アハ ドゥルム ラス イヒ イェィーズゥム ニヒト
Ach drum laß ich Jesum nicht,
 ああ、だからイエスを放しません
ヴェン  ミァ  グライヒ マイン ヘルツェ ブリヒト
Wenn mir gleich mein Herze bricht.
 たとえこの心が張り裂けようとも

 

第10曲コラール (第二部 終曲)

 

 <ドイツ語歌詞>  <日本語訳>
イェィーズゥス ブライベット マイネ フロイデ
Jesus bleibet meine Freude,
 イエスは変わらざる私の喜び
マイネス ヘルツェンス トロースト ウント ザフト
Meines Herzens Trost und Saft,
 私の心の慰めであり 潤い
イェィーズス ヴェィーレット アレム ライデ
Jesus wehret allem Leide,
 イエスはすべての悲しみから守ってくださる
エァ イスト マイネス レィーベンス クラフト
Er ist meines Lebens Kraft,
 イエスは私の命の力
マイナー アォゲン ルゥスト ウント ゾネ
Meiner Augen Lust und Sonne,
 目の歓びにして太陽
マイナー  ゼィーレ シャッツ ウント ヴォネ
Meiner Seele Schatz und Wonne;
 魂の宝であり 歓喜
ダールゥム ラス イヒ イェィーズゥム ニヒト
Darum laß ich Jesum nicht
 だからイエスを放しません
アォス デェィム ヘルツェン ウント ゲズィヒト
Aus dem Herzen und Gesicht
 この心と視界から

 

 

《英語版歌詞》

 

Jesu, joy of man's desiring,
Holy Wisdom, Love most bright;
Drawn by Thee, our souls aspiring
Soar to uncreated light.
Word of God, our flesh that fashioned,
With the fire of life impassioned,
Striving still to truth unknown,
Soaring, dying round Thy throne.

Through the way where hope is guiding,
Hark, what peaceful music rings;
Where the flock, in Thee confiding,
Drink of joy from deathless springs.
Theirs is beauty's fairest pleasure;
Theirs is wisdom's holiest treasure.
Thou dost ever lead Thine own
In the love of joys unknown.
Striving still to Truth unknown,
Soaring, dying, 'round thy throne.

 

解説

「主よ、人の望みの喜びよ」 は、教会カンタータ第147番 《口と心と行いと生きざまもて》 の第一部、 第二部をしめくくるコラール(賛美歌)の合唱です。
聖母マリア訪問の祝日(7月2日)のために旧作を改作したもので、全10曲、二部仕立てになっています。
初演は1723年7月2日、のちにイギリスの女流ピアニスト、マイラ・ヘスによって、 「Jesus, joy of man's desiring(主よ、人の望みの喜びよ) 」というタイトルの ピアノ独奏曲に編曲されて有名になり、以後、原曲のオーケストラも単独で演奏されるようになりました。
第6曲の歌詞は、マルティーン・ヤーンのコラール 《Jesu, meiner Seelen Wonne(イエスよ、私の魂の喜びよ)》 の第6節から、
第10曲の歌詞は同コラールの第16節を、第6曲と同じ調べに乗せて歌います。
心洗われるような美しい旋律は、ひとつの旋律の陰に別の旋律が動いていく、バッハ得意のポリフォニーという手段で書かれています。

 

 

カンタータについて

教会カンタータとはルター派プロテスタント教会の礼拝音楽です。
毎週日曜日の午前の礼拝において、説教の前に演奏されました。
その日の礼拝において朗読される聖書の箇所についての音楽による解説のようなもので、
牧師の言葉による説教に対して、カンタータは音楽による説教とよばれました。
これを作るのはカントール(楽師長)の仕事で、バッハはライプツィヒの聖トーマス教会カントールとして、 5年間膨大な数のカンタータを作り続け、現在200曲ほどが残されています。

 

BWVとは・・・

Bach-Werke-Verzeichnis の略で、ドイツ語で“バッハの作品目録”という意味です。
楽曲の作品番号は、一般的に作曲家本人や出版者によって付けられることが多く、番号の頭にop.(opus=ラテン語で作品の意)を付けていますが、 バッハの作品にはBWVの記号を用いています。
もちろん、作品目録や番号はバッハが記したものではなく、音楽学者ヴォルフガング・シュミーダーが1958年に作成したものです。