Gabriel Urbain Fauré 1845.5.12-1924.11.4 「Pavanu」 Op.50
作詞 Robert de Montesquiou-Fezenzac 1855-1921
ロベール・ドゥ・モンテスキュー=フェザンサク伯爵
Pavane (フランス語歌詞) | (訳) |
C’est Lindor! C’est Tircis! | ここにランドルとティルシスがいる |
et c’est tous nos vainqueurs! | 私たちをとりこにしたすべての者たちが! |
C’est Myrtil! C’est Lydé! | ここにミルテとリデがいる |
les reines de nos cœurs! | われらの心の女王たちが |
Comme ils sont provocants | あの人たちはなんて挑発的なんだろう! |
Comme ils sont fiers toujours! | あの人たちはなんて誇り高いことか! |
彼らは私たちの運命と生活を支配している! | |
Faites attention! Observez la mesure! | 気をつけよ! 節度を守れ! |
O la mortelle injure! | 何というひどい屈辱! |
La cadence est moins lente! | 調子はそんなに遅くない |
et la chute plus sûre. | 強弱もしっかりしている |
Nous rabattrons bien leur caquets | 彼らをやりこめてやろう |
Nous serons bientôt leur laquais | すぐに私たちは彼らの下僕になるかもしれない |
Qu’ils sont laids! Chers minois! | 彼らはなんて醜いのかしら! 愛くるしい顔よ! |
Qu’ils sont fols! Air coquets! | |
Et c’est toujours de même! | それはいつも同じ |
Et c’est ainsi toujours! | いつもこんなふう |
On s’adore! On se hait! | 私たちは愛し 憎む! |
On maudit ses amours! | 私たちは私たちの愛を呪う! |
Adieu Myrtil! Eglé! Chloé! | さらば ミルティル エグレ クロエよ! |
démons moqueurs! | 人をからかうのが好きな悪魔たちよ! |
Adieu donc | それじゃ さようなら |
et bons jours aux tyrans de nos cœurs! | われらが心の暴君たちに ごきげんよう! |
解説
1886年、フォーレはジュール・ダンベのコンサート・シリーズの為に管弦楽曲 《パヴァーヌ 嬰へ短調》 を書き、翌年完成。
同年の1887年にパトロネスであったエリーザベト・グレッフュル子爵夫人の勧めで、合唱パートを加えられ、合唱曲としても親しまれています。
歌詞はグレフュール夫人のいとこで、詩人のロベール・ドゥ・モンテスキュー=フェザンサク伯爵の作。
管弦楽版は1888年11月25日にパリで、合唱付き管弦楽版は1889年4月28日にソシエテ・ナショナルの演奏会で初演されました。
精妙な美しさを特徴とするフォーレの美質を如実に示す曲で、オルガニストとしても活躍したフォーレの、オルガンの敬虔な響きも感じられます。
パヴァーヌとは、ラテン語で “孔雀” を意味するパヴォが由来とされる、16世紀スペインに起こった、ゆったりとしたテンポの2拍子の舞曲で、 16~17世紀のフランス宮廷で大流行しました。
1891年にまずピアノ伴奏によるヴォーカル・スコアの形で出版され、1901年に本来の管弦楽と合唱による版が出されました。
もともと合唱は後から追加されたため、演奏にあたって混声四部合唱を加えるかは任意となっています。