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《六つの歌曲》 より第2曲『歌の翼に』歌詞と解説(作曲:ヤコブ・ルートヴィヒ・フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ)

Jakob Ludwig Felix Mendelssohn Bartholdy
“Auf Flügeln des Gesanges”  Op.34-2

Heinrich Heine, 1797-1856
ハインリッヒ・ハイネ 作詞
1834年、デュッセルドルフでゲヴァントハウス管弦楽団の指揮者をしていたメンデルスゾーンが25歳のときに書いた
「愛の歌」、「春の歌」、「ズライカ」 などが含まれている 『六つの歌曲』 のなかの第2曲目です。
当時はおとぎの国と考えられていた遠い東洋の国インドに恋人である君を連れて行こうとロマンティックに歌う歌詞は、
19世紀最大のロマン派詩人ハイネの詩集 『歌の本』 におさめられている 「叙情挿曲」 からとられています。
メンデルスゾーンはドイツ系ユダヤ人でしたが、裕福な銀行家の家庭に生まれ育ち、恵まれた生涯をおくったことが 作風にも現れ、上品で明るい美しさに満ちた曲が多く、アルペジオの伴奏にのって流れるようななだらかなメロディのこの曲も、 優雅な、ロマンの香り高い曲として広く親しまれ、彼の歌曲の代表作となっています。

 <ドイツ語歌詞> 歌の翼に
(門馬直衛 訳詞)
歌のつばさ
(津川主一 訳詞)
アウフ フリューゲルン デス ゲザンゲス
Auf Flügeln des Gesanges,
歌の翼に 歌のつばさを
ヘルツリープヒェン トラーク イッヒ ディッヒ フォルト
Herzliebchen, trag' ich dich fort,
きみを送らん かりて行(ゆ)かな
フォルト ナッハ デン フルーレン デス ガンゲス
fort nach den Fluren des Ganges,
南はるかなる 幸(さち)あふるる
ドルト ヴァイス イッヒ デン シェーンステン オルト
dort weiß ich den schönsten Ort.
美(うる)わし国に 夢の国へ
ダ リークト アイン ロート ブリューエン デル ガルテン
Da liegt ein rot blühen der Garten
花はかおる園に 陽(ひ)のさす園に
イム シュティレン モンデンシャイン
im stillen Mondenschein;
月影冴え 花は香り
ディー ロートスブルーメン エルヴァルテン
die Lotosblumen erwarten
蓮(ハチス)咲き出でて 見わたす池に
イール トラウテス シュヴェステルライン
ihr trautes Schwesterlein,
きみを待つよ 蓮(ハチス)におう
ディー ロートスブルーメン エルヴァルテン
die Lotosblumen erwarten
蓮(ハチス)咲き出でて 見わたす池に
イール トラウテス シュヴェステルライン
ihr trautes Schwesterlein,
きみを待つよ 蓮(ハチス)におう
     
ディー ファイルヒェン キッヒェルン ウント コーゼン
Die Veilchen kichern und kosen,
すみれ笑いて なつかしきかな
ウント シャウン  ナッハ デン シュテルネン エンポール
und schau'n nach den Sternen empor,
星影仰ぎて 夢の国や
ハイムリッヒ エルツェーレン ディー ローゼン
heimlich erzählen die Rosen
ばらはひそやかに いそぎて行かな
ズィッヒ ドゥフテンデ メールヒェン インス オール
sich duftende Märchen ins Ohr.
秘言(ひめごと)ささやく 清き園へ
エス ヒュプフェン ヘルバイ ウント ラウシェン
Es hüpfen herbei und lauschen
カモシカ静けく 可愛ゆきすみれ
ディー フロメン クルーゲン ガツェルン
die frommen klugen Gazell'n;
耳を傾く われを招き
ウント イン デル フェルネ ラウシェン
und in der Ferne rauschen
清き流れは そよぐ風さえ
デス ヘイルゲン シュトローメス ヴェルン
des heil'gen Stromes Well'n,
さやに響く 友を呼べり
ウント イン デル フェルネ ラウシェン
und in der Ferne rauschen
清き流れは そよぐ風さえ
デス ヘイルゲン シュトローメス ヴェルン
des heil'gen Stromes Well'n,
さやに響く 友を呼べり
     
ドルト ヴォレン ヴィル ニーデルズィンケン
Dort wollen wir niederseinken
棕櫚(しゅろ)の葉蔭れに いざわが友よ
ウンテル デム パルメンバウム
unter dem Palmenbaum,
恋に酔いて たちて行かん
ウント リープ ウント ルーエ トリンケン
und Lieb' und Ruhe trinken
ともに憩(いこ)いて 麗(うるわ)しの
ウント トロイメン  ゼーリゲン トラウム
und träumen seligen Traum,
夢に耽(ふけ)らん 夢はてぬ国へ
ウント トロイメン  ゼーリゲン トラウム
und träumen seligen Traum,
夢に耽らん 夢はてぬ国へ
ゼールゲン トラウム
sel'gen Traum.
夢に 国へ

 

《直訳》

歌の翼に乗せて 心から愛する君を連れてゆこう
ガンジス河の流れる沃野へ
僕はそこでもっとも美しい場所を知っている
そこには赤い花咲く庭があって
静かな月光のなか 蓮の花が 親愛な妹であるあなたが来るのを心待ちにしている

すみれはクスクス笑い戯れ 空高く星々を仰ぎ見る
バラはひそやかにかぐわしいおとぎ話を お互いの耳に語り合っている
おとなしくて賢いカモシカが 飛び跳ねて寄ってきては 耳を澄ませている
そして遠くでは聖なる河が さらさらと波音を立てている

僕は君とそこで ヤシの木のもとに身を沈めて
愛と安らぎを飲みつくし 至福の夢を夢見ていたい