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『とざした唇に (メリー・ウィドウ・ワルツ)』歌詞と解説(作曲:フランツ・レハール)

喜歌劇 ≪メリー・ウィドウ≫ 第3幕 より

Franz Lehár   Lippen schweigen (Merry widow waltz)

No.15 二重唱(ワルツ) Die lustige Witwe  口びるは黙っていても

 

  <ドイツ語歌詞> <日本語歌詞1> <日本語歌詞2>
(Danilo)
Lippen schweigen, 'sflüstern Geigen: 
Hab' mich lieb!
All' die Schritte sagen bitte,
hab' mich lieb!
Jeder Druck der Hände
deutlich mir's beschrieb
Er sagt klar, 'sist wahr, 'sist wahr,
du hast mich lieb!
(ダニロ)
 高なる調べに
 いつか
 心のなやみも
 とけて
 言わねど知る
 恋心
 想う人こそ
 君よと
(ダニロ)
 夢見る調べが
 愛を
 運ぶ足取りに
 愛を
 にぎりしめた
 手と手には
 あなたの愛が
 ささやく
(Hanna)
Bei jedem Walzerschritt
Tanzt auch die Seele mit
Da hüpft das Herzchen klein
es klopft und pocht:
Sei mein! Sei mein!
Und der Mund er spricht kein Wort,
doch tönt es fort und immerfort:
Ich hab dich ja so lieb,
Ich hab dich lieb!
(ハンナ)
 調べにつれ
 ときめく胸
 この思いを
 告げよと
 波打つ
 口はとじても
 心にはかよう
 愛の甘き
 ささやき
(ハンナ)
 ワルツにのり
 飛ぶおもいよ
 揺れる胸は
 ときめき
 ふるえる
 何も言わないで
 心から愛を
 捧げますわ
 あなたに
(Danilo, Hanna)
Jeder Druck der Hände
deutlich mir's beschrieb
Er sagt klar: 'sist wahr, 'sist wahr,
du hast mich lieb!
(ダニロ,ハンナ)
 言わねど知る
 恋心
 想う人こそ
 君よと
(ダニロ,ハンナ)
 にぎりしめた
 手と手には
 あなたの愛が
 ささやく

 

《直訳》


(ダニロ)
唇はとざされて ヴァイオリンはささやく
「私を愛して」 と
ワルツのステップよ 言っておくれ
「私を愛して」 と
手を握りあうたび はっきりわかる
あなたの手は告げている
ほんとうに ほんとうに あなたは私を愛している

(ハンナ)
ステップを踏むたび 心も踊る
鼓動が高鳴る
「私のものになって 私のものになって」 と
唇は何も言わないけれど 耳には響く
「本当にあなたを愛している あなたを愛してる」

(ふたりで)
手を握りあうたび はっきりわかる
あなたの手は告げている
ほんとうに ほんとうに あなたは私を愛している

 

解説

ワルツ王といわれるヨハン・シュトラウスの活躍した19世紀の“ウィンナ・オペレッタの黄金時代”から、 レハールなどに代表される“白銀時代”への移行を告げる画期的な作品です。
フランスのアンリ・メイヤックの喜劇 “公使館員 L'Attaché” をもとに台本は書かれ、作曲者として若きレハールに白羽の矢が立ちましたが、
アン・デア・ウィーン劇場の総監督ヴィルヘルム・カルチャークは納得せず、《オペラ舞踏会》 の リヒャルト・ホイベルガーに作曲家を変更しました。しかし結果はいまひとつ。
一方、話をもちこんだ台本作家のひとり、レオンはあきらめきれず、レハールに劇中の 「お馬鹿な兵隊さん」 の詩をみせたところ、 あっという間に曲を作り、聞くと面白かったので、カルチャークを説得して、最初の予定どおり、レハールが作ることになりました。
民族色を出すために、劇中の祖国はドイツの小国からバルカンの架空の小国に移し変えられています。
1905年12月30日ウィーンのアン・デア・ウィーン劇場での初演は大成功をおさめ、やがてウィーンはおろか、 全世界の主要都市で上演され、レハールの名は世界中に知られることになりました。
現在でもヨハン・シュトラウスの “こうもり” と双璧をなす、ウィンナ・オペレッタの金字塔とされています。


「メリー・ウィドウ」 のあらすじ

  ※ 私が見たのは日本語版のため、原作とは少し違うかもしれません。

 

第1幕

1905年頃、フランスのパリにあるポンテ・ヴェドロ公使館で、ポンテ・ヴェドロ国王の誕生日祝賀パーティが開かれている。
駐在公使マルコ・ツェータ男爵の美しい妻ヴァランシェンヌは、パリの伊達男カミーユ・ド・ロジヨンと浮気中だが、人妻としての節度は保とうとしている。
莫大な遺産を相続した未亡人ハンナ・グラヴァリのことで頭を悩ましているツェータ男爵は妻の浮気に気づいていない。
もしハンナがパリの男と再婚してしまえば、彼女の財産は外国へ流出してしまい、小国ポンテ・ヴェドロは財政危機に瀕してしまう。
その対策として書記官ダニロ・ダニロヴィッチ伯爵とハンナを結婚させようと考えたツェータ男爵は事務官ニェーグシに命じて、 キャバレー 「マクシム」 に入り浸っているダニロを呼びに行かせる。
大勢のパリの男たちに囲まれてハンナが登場する。ハンナは男たちの過剰なお世辞にうんざりぎみ。
一同が去ったあとに、ダニロとニェーグシが現れる。かつてハンナと恋仲だったダニロは、親戚の反対で結婚できないうちに、 ハンナに年寄りの富豪と結婚されてしまい、「マクシム」 でヤケ酒をあおる生活を送っていた。
寝不足のダニロはソファーに横になると大いびきをかいて寝入ってしまう。
そこへハンナがやってきて、ダニロに気づいたところで、ダニロも目を覚まし、ふたりは再会する。
財産目当ての人たちに囲まれているせいで、人の愛情を信じられなくなってきているハンナは大金持ちの今なら平民であっても ダニロの親戚に結婚を反対されないだろうと皮肉まじりに言い、
自分も財産狙いだと思われていると知ったダニロは、それなら絶対、愛しているといわないと言葉をかえす。
ハンナが去ると、ツェータ男爵がやってきて、祖国のためにハンナと結婚するよう説得するが、ダニロは 「絶対いやです」 と断る。
しかし祖国のためにはハンナをパリの男と結婚させるわけにはいかない。
ダニロはハンナと踊ろうとまわりに群がっているパリの男たちの気をそらすため、他の女たちを連れてやってくる。
ハンナはダニロを踊りの相手に選ぶが、ダニロは踊らないと断り、ハンナと踊る権利を1万フランで他の男にゆずろうと言う。
群がっていた男たちは皆、しりごみし、結局ダニロがハンナと踊る。

 

第2幕

公使館でハンナ主催のパーティが開かれている。
ハンナは森の妖精ヴィリアの歌を歌う。ハンナの気持ちはダニロにあるが、遺産目当てと思われることにこだわっているダニロはハンナに対する気持ちをあらわそうとしない。
ふたりは二重唱「お馬鹿な騎兵さん」を歌い、互いの気持ちを風刺する。
そして男たちは、女は計り知れない謎だ、男を迷わすと歌いあう。
ヴァランシェンヌは自らの貞節をまもるため、浮気相手であるカミーユをハンナと結婚させようとするが、 カミーユは熱い想いを歌い、最後の口づけをとヴァランシェンヌをあづまやへ誘う。
ツェータ男爵は自分の妻が他の男と一緒にあづまやにいることに気づき戸を叩いて開けさせるが、急場を救うため裏口から入ったハンナが ヴァランシェンヌと入れ替わったため、ハンナとカミーユが姿をあらわす。
カミーユと婚約するというハンナにダニロは心乱し、反対はしないというものの、「むかしある処に、お互いの愛を心に秘めた 王子と王女がおりました」 とたとえ話を歌い、これで僕もさよならだと立ち去っていく。
ハンナは自分に対するダニロの愛を確信し、有頂天になって踊りまわる。

 

第3幕

ハンナの館。ダニロの好みにあわせ、キャバレー 「マクシム」 と同じ造りにしてある。
「マキシム」の踊り子のなりをしたヴァランシェンヌが他の踊り子たちを紹介しながら、一緒にオッフェンバック の 『天国と地獄』 のカンカンを踊る。
ハンナはダニロにカミーユと結婚する意思はないこと、そしてあづまやに一緒にいた女性は自分ではなかったことを打ち明ける。
これを聞いたダニロは心のなかでは喜ぶが、まだ自分の本心を口に出すことができない。そのときに歌われるのが、 メリー・ウィドウ・ワルツとして有名な二重唱、《とざした唇に》。
ツェータ男爵は、あづまやの中に落ちていたヴァランシェンヌの扇子から、やはりあづまやのなかにいたのは自分の妻だったと知り、 ヴァランシェンヌと別れ、祖国のためにハンナと結婚しようとする。
しかしハンナは、夫の遺言により、再婚する場合には自分は全財産を失うことになると説明する。
それを聞いて、ダニロは初めてハンナに愛を告白する。
ハンナはさらに言葉を続け、遺言によれば、再婚すると自分は財産を失うが、その遺産は新しい夫のものになると告げる。
一方、ツェータ男爵は、扇子にヴァランシェンヌの字で「私は貞淑な人妻ですの」と書いてあるのに気づき、妻を許し、めでたしめでたしとなる。