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『歌の殿堂をたたえよう (タンホイザー大行進曲)』歌詞と解説(作曲:リヒャルト・ワーグナー)

 Richard Wagner
 Einzug der Gaste in die Wartburg (客人のワルトブルクへの入場と行進)
   AUS DER OPER ”Tannhäuser” Zweiter Aufzug

第2幕 歌合戦の会場となったヴァルトブルクの広間に集まった貴族や騎士たちが領主を讃える合唱。

 

 

Freudig begrüßen wir die edle Halle 厳かのこの広敷

(CHOR DER RITTER UND EDLEN)

(騎士と貴族の合唱)
フロイディヒ ベグリューセン ヴィア エィートレ ハレ
Freudig begrüßen wir die edle Halle,
厳(おごそ)かのこの広敷(ひろしき)
ヴォー クゥンスト ウント フリーデン イマー ヌゥア フェアヴァイル
wo Kunst und Frieden immer nur verweil',
歌の技の誉れ高き
ヴォー ランゲ ノホ フローエ ルーフ エアシャレ
wo lange noch der Ruf erschalle:
いつまでも響けよ
チューリンゲンス フルステン ラントグラーフ  ヘルマン  ハイル
Thüringens Fürsten, Landgraf Hermann, Heil!
大君(おおぎみ)ヘルマン万歳 よぶ声の

(CHOR DER EDELFRAUEN)

(貴婦人たちの合唱)
Freudig begrüssen wir die edle Halle, 厳かのこの広敷
wo Kunst und Frieden immer nur verweil', 歌の技 いや栄ゆ
wo lange noch der frohe Ruf erschalle: いつまでもなお響けよ
Thüringens Fürsten, Landgraf Hermann, Heil! 大君ヘルマン万歳 万歳

(DER RITTER UND EDLEN)

(騎士と貴族)
wo lange noch der Ruf erschalle: いつまでも響けよ
wo lange noch der Ruf erschalle: いつまでも響けよ
Thüringens Fürsten, Landgraf Hermann, Heil! 大君ヘルマン万歳 万歳

(CHOR)

(合唱)
wo lange noch der Ruf erschalle: いつまでも響けよ
wo lange noch der Ruf erschalle: いつまでも響けよ
Thüringens Fürsten, Landgraf Hermann, Heil! 大君ヘルマン万歳 万歳
   
Freudig begrüssen wir die Halle, 厳かの広敷
wo immer Kunst und Frieden nur verweil', 歌の技のさかゆる
wo lange noch der frohe Ruf erschalle: いつまでもなお響けよ
der frohe Ruf erschalle: いつまでもなお
Thüringens Fürsten, Hermann, Heil! 大君ヘルマン万歳
   
Freudig begrüssen wir die edle Halle, 厳かのこの広敷
wo Kunst und Frieden immer nur verweil', 歌の技の誉れ高き
wo lange noch der Ruf erschalle: いつまでも響けり
wo lange noch der Ruf erschalle: いつまでも響けり
wo lange noch der Ruf erschalle: いつまでも響けり
Thüringens Fürsten, Landgraf Hermann, Heil! 大君ヘルマン万歳 万歳
Thüringens Fürsten, Landgraf Hermann, Heil! 大君ヘルマン ヘルマン 万歳
   
wo lange noch der Ruf erschalle: いつまでも響けり
Thüringens Fürsten, Hermann, Heil! Heil! 大君ヘルマン ヘルマン 万歳
Thüringens Fürsten, Heil! Heil! Heil! 大君ヘルマン万歳 万歳
Thüringens Fürsten, Hermann, Heil! 大君ヘルマン ヘルマン 万歳

 

《直訳》

われらは喜びに満ちて この高貴な殿堂に挨拶をおくる
ここに芸術と平和がいつも満ちていますように
あの喜ばしい歓呼の声がここでいつまでも響きわたるように
「テューリンゲンの領主ヘルマン伯万歳!」 と

解説

作曲に着手したのは1843年の秋だったようです。
1845年4月に完成し、曲ができるやいなや、稽古が始められましたが、パリに注文した背景の到着が遅れたこと、
演出上の困難に対していろいろの工夫が凝らされたために1845年9月に予定されていた初演は伸び、
10月19日ワーグナーの指揮により、ドレスデン宮廷歌劇場で初演を迎えました。
初演では作品の推敲が不十分であり、分かりにくかったため、聴衆は困惑し、批評家は否定的な判断を下しましたが、
その後すぐにワーグナーが欠点を修正したので、10月27日の第3回の上演では嵐のような喝采を受けたといいます。
題材はドイツの口碑集からとられ、知人の勧めで、実在した伝説上の詩人「タンホイザー」(1205~66)と「ヴァルトブルクの歌合戦」をあわせました。
タンホイザーは実在のミンネジンガー(騎士の恋愛詩人)で、13世紀のはじめ、オーストリアのフリートリッヒ2世の宮廷に仕えたと伝えられています。
彼が残した詩の大胆な官能肯定の姿勢から、ヴェーヌスのもとに滞在したという伝説が生まれ、それが民衆の間にタンホイザーの歌となって普及しました。
ヴェーヌスの山は伝説ではイタリア中部のスポレート近くにあるとされ、ドイツではテューリンゲン地方とシュヴァーベン地方にあるといわれています。
ヴァルトブルク城のある山と相対して、ヘルゼルベルクという山があり、そこがテューリンゲン地方の伝説のヴェーヌスの山でした。
なお、13世紀のころ、ドイツ、テューリンゲンのヴァルトブルクにあった領主ヘルマンの屋敷では歌合戦が催されるのを慣いとしていました。
ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハ(1170~1220)や、聖エリーザベト(1207~31)も実在の人物で、実在の彼女はルートヴィヒ4世の妃となっています。
伝説では騎士タンホイザーは歌劇と同じようにヴェーヌスのもとで歓楽を極めましたが、地上に戻り、ローマ法皇ウルバン4世に罪を告解しました。
丸一年ヴェーヌスブルクにいたことを知った教皇は、「私が手に持っている干からびた杖が緑色に変わるならおまえの罪は救われるだろう」と言いました。
悲嘆にくれながらタンホイザーは町を出て、ふたたびヴェーヌスの山へ戻っていくと、ヴェーヌスは彼を歓迎しました。
それから3日目に教皇の杖が緑色に変わったので、全土に使いが送られましたが、時すでに遅く、タンホイザーはヴェーヌスの山へ行ってしまったあとでした。

 

「タンホイザー」 のあらすじ

 

第一幕 Erster Aufzug

アイゼナハのヴァルトブルクに近い、テューリンゲン地方のヘルゼルベルク山(ヴェーヌスブルク)の地下にあるヴェーヌス(ヴィーナス)の洞窟。
妖精たちが歓楽の宴を繰り広げているなかで、騎士であり詩人でもあるタンホイザー(ハインリヒ・フォン・オフターディンゲン)は、ヴェーヌスのひざに頭をあずけ、眠っている。
夢のなかで地上の教会の鐘を聞いたタンホイザーはヴェーヌスブルクの快楽に飽いて、ここから出たいと願う。
ヴェーヌスは引きとめるが、タンホイザーが救いを求め、聖母マリアの名を呼ぶと、ヴェーヌスの誘惑の魔法は破れ、突如、彼は春のヴァルトブルクの谷間にいた。
罪を償うため、ローマへ旅しようとする巡礼者たちの敬虔な歌に感動したタンホイザーはひざまずいて熱心に祈る。
そこへ狩を終えたテューリンゲンの領主ヘルマンと彼の宮廷に仕えるミンネジンガーたちがやってくる。
タンホイザーは以前彼らに加わっていたことがあったが、何年か前に去って、ヴェーヌスのところに行っていた。
詩人たちのひとりでタンホイザーの親友のヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハはタンホイザーに気づいて、仲間に戻るように勧める。
タンホイザーはどこへ行っていたかを明かさず、放浪の旅を続けたいというが、領主の姪エリーザベト姫が彼の歌に魅せられ、
彼が去って以来、歌合戦に姿を見せないと聞かされて、ヴァルトブルクへ戻る決心をする。

 

第2幕 Zweiter Aufzug

久しぶりに歌合戦が催されることになったヴァルトブルク城の大広間。エリーザベト姫は歌の殿堂に挨拶し、タンホイザーが帰ってきた喜びを歌う。
ヴォルフラムがタンホイザーを連れて現れ、彼を姫と引き合わせる。
二人は喜びに包まれ、その様子を広間の奥からうかがうヴォルフラムは望みはなくなったと、エリーザベトへの愛をあきらめる気持ちをもらす。
やがてヴォルフラムのもとに戻ったタンホイザーはその場から去り、エリーザベトはバルコニーから見送る。
歌合戦の時刻が近づき、客である貴族や騎士が貴婦人たちを伴って、次々と入場し、応対する領主ヘルマンやエリーザベトに挨拶する。
最後に詩人たちが入場すると、領主は歌合戦の課題として愛の本質を究明することをもとめ、最も優秀な歌へは、エリーザベト自身が賞を授与することとなる。
ヴォルフラムや他の詩人は純潔な愛の理想を歌うが、タンホイザーは奔放で官能的な愛こそ本当の愛だと歌い、聴衆の憤激をかう。
なおも清らかな愛を歌うヴォルフラムのあと、ついタンホイザーはヴェーヌスを讃える歌を歌い、ヴェーヌスのところにいたことを明かしてしまう。
婦人たちは広間を出て行き、激昂した騎士たちは剣を抜いて彼を取り囲むが、誰よりも心を傷つけられたエリーザベトが身をていして彼をかばい、とりなす。
領主はタンホイザーを追放処分にし、若い巡礼たちとローマへ行って、法皇から罪の許しを受けるよう言う。

 

第3幕 Dritter Aufzug

半年が過ぎ、ヴァルトブルクに秋が訪れる。
巡礼がローマから帰ってくる季節になって、エリーザベトはタンホイザーが赦されて戻ってくるようにマリア像に熱心に祈っている。
先発の巡礼たちが姿をあらわすが、そのなかにタンホイザーの姿はない。
エリーザベトはタンホイザーが救われるため、自身の命を受け取ってくれと祈る。
現れたヴォルフラムの問いかけに答えず、身振りでこれから果たすつとめを暗示すると、彼女はただひとり山道をのぼっていく。
エリーザベトを愛していながらも友のためにあきらめていたヴァルフラムは姿を消していく彼女の姿をずっと見送っていたが、
昇天する彼女の魂を優しく見守ってくれるよう、竪琴を奏で、<夕星(ゆうづつ=宵の明星=ヴェーヌス)の歌>を歌う。
夜もふけたころ、破れ衣に身を包み、杖にすがってよろめき歩く、疲れ果てた巡礼姿の男が現れた。
それがハインリヒ(タンホイザー)だと知ったヴォルフラムに、彼は自分の巡礼の旅が無駄だった次第を<ローマ語り>として物語る。
法皇はヴェーヌスと交わった罪は永劫に赦されないと宣告し、それは自分の手にもった杖が緑の葉をつけないのと同じだと告げたのだった。
絶望したタンホイザーがふたたびヴェーヌスのところへ戻ろうと欲すると、ほのかな薔薇色の霧が現れ、ヴェーヌスが彼を招く。
タンホイザーを思いとどまらせようとするヴォルフラムはエリーザベトの愛を彼に思いおこさせる。
彼女の名を聞いたタンホイザーは我にかえり、ヴェーヌスが姿を消すと同時に魔法の幻も消え、霧が晴れる。
ヴァルトブルクから、タンホイザーの救いのために命を捧げ、谷へ身を投げたエリーザベトの棺をかついだ葬列がおりてくる。
タンホイザーはその棺に歩み寄り、エリーザベトの亡骸のうえにかがみこみ、息絶える。
朝が訪れ、ローマからかえってきた若い巡礼たちの行列が姿をあらわす。
その中央に捧げられている法皇の杖には緑の葉が芽吹いていた。
エリーザベトの献身により、ついにタンホイザーに救いが与えられたのだ。