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チキ号は何台あるのか?【映画『チキチキバンバン』考察】

寓意だけでなく、この映画にちりばめられた各種データも着目すべきものです。荒唐無稽な御伽話のようでありながら、意外なほど「正確」なデータによってこの作品は成り立っているのです。

『チキチキバンバン』の映像世界に実にさりげなく出てくる様々な科学的・歴史的事実。この研究ではそういう事実を検証することで作品に鋭く迫ります。

まずは諸説プンプンで全貌がつかみにくい撮影に使われた実物大チキ号の違いについて、鋭く考察!

撮影に使われたチキ号はいったい何台あるのか? 残された資料からその謎に迫ります。

このコーナーでは以前にも、ピエール・ピクトン氏、ディック・ヴァン・ダイク氏の発言や海外サイトの研究をベースにこの課題に取り組んできましたが、その後研究が進むに連れ、かなり変更が必要であることが解ってきましたので、全面的に書き直すことにしました。

分類1:GEN11登録車

特徴:鏡面仕上げのアルミボンネット、自走可
用途:劇中メイン車両、走行シーンほか多数
所在:ピエール・ピクトン氏が購入

撮影時に車両担当をしていたピエール・ピクトン氏が所有した2台のうちの1台。

ナンバー「GEN11」で登録され、実際に走れます。劇中の走行シーンほか一番多くのシーンで使用されたメイン車。

現在でもピクトン氏と数々のイベントに登場したり、DVLAのCMで再び空を飛ぶなど、現役バリバリのチキ1号車です。

撮影当時はフォード製の四気筒エンジンを載んでいましたが、どういう経緯かピクトン氏によってLPG化されました。

その変更を報道したLPGニュース画像(下の写真)ではウインカーなどの保安装置の追加が確認できます。

 

分類2:GEM11登録車

特徴:光沢無し銀塗装仕上げグラスファイバーボンネット、後部にプロペラ付き、牽引用車
用途:飛行シーン、走行シーン(アップ)ほか多数
所在:ピエール・ピクトン氏が購入→JCB社→
(?→オークション→ラルフ・スペンサー氏)

 

1970年代の終わりまでピクトン氏が所有していたもう2台目のチキ。その後JC Bamford Readily identifiable社のアントニー・バンフォード氏 が所有し、ナンバー『GEM11』で登録済み。

ロケでは牽引用に使われ、劇中の54分:22秒~39秒あたりを始めとする、歌いながら運転するシーンで使われています。

ボンネットの上のパネルの材質は「GEN11」のアルミ製に対してグラスファイバー製で、蝶番式ではなく一体式になっています。

ハンドル位置が1号車に較べ、やや高いのも特徴の一つです。

ピクトン氏の手に渡ってまもなく、ピエロショーや氷上ショーのための改修が施され、同時にエンジンが搭載されたようです。車体は1号車にくらべてわずかに小型な感じもします。

 

ボンネットやハンドル位置から判断すると白い崖から落ちるチキがこれで、つまり後部にプロペラが付いた車体。

イギリス海峡を飛び、ボンバースト城の村に着陸し、ボンバースト城から飛び立ったチキもこれです。

プロペラを使って飛行する際には後部のバスケットが邪魔になるようで、崖のシーンでは飛ぶ寸前でバスケットケースが無くなってるのが確認できます。

本来は牽引専用車ですが、ドイツロケなどピクトン爺、GEN11登録車と共に各地を旅した訳で、ピクトン爺がこれら2台を買ったのも自然な成り行きと言えます。

 

2007年6月に第16回オーバーン・スプリング・モーターフェアで、「フロリダ州ジャクソンビルで材木会社を営むラルフ・スペンサー氏が映画撮影に使われたチキチキバンバンを6156万円で落札」と話題になりましたが、その時の写真(下)の「塗装仕上げボンネット」・「横グリル」の特徴から、落札されたのはこの2号車ではないかと思われますが、このチキの出品者は、シカゴの“JR's Retreat”というレストランのジム・リッチ氏で、破産のため手放したと報道されています。

となると、バンフォード氏が以前に手放していたことになるので、決定的なことは言えません。

 

分類3:タテグリル車

特徴:ラジエーターグリルの支柱がタテ。撮影中にエンジンが載せられた
用途:ボンバースト城の上空、走行シーン(アップ)ほか多数
所在:米国→Car of The Stars

 

ボンバースト城の上空を旋回するチキを注意深く観察すると、一瞬ラジエーターグリルの中にタテの支柱が見えます。

これは、ピエール・ピクトン氏のサイトで「THE FLYING MOCK-UP」と呼ばれている車両であり、撮影中にエンジンが載せられ、一時米国で展示されていた(下の写真左)が、英国に戻りケズウィック博物館(同じ村にある「Car of The Stars」と思われる)に飾られている(下の写真右)と解説されています。確認できたのは、今のところボンバースト城上空の数カットだけです。

分類4:海岸チキ 

特徴:ボンネットはアルミ、撮影時にはエンジン無しで、後に搭載
用途:海岸で12秒間だけ登場
所在:オーストラリアで映画宣伝→aluminium awning company社→
カー・オブ・ザ・スターズ博物館→2~3年でイオンプロへ

海での撮影用に作られたためエンジンが載せられていない車で、サビ防止のためか、ボンネットはアルミニウム製。

満ち潮によって海に取り残されたシーンで使われましたが、見た目が違い過ぎたため、別車両を使いパインウッドスタジオのプールで撮り直された結果、本編に登場したのは12秒間だけでした。

後にエンジンが載せられ、aluminium awning company社に売却されるまで、オーストラリアで映画宣伝に使われたそうです。

最初にカー・オブ・ザ・スターズ博物館に飾られたチキですが、外観の違いが災いしてか、同博物館が2~3年後にタテグリル車を購入し直したため、イオンプロに売られました。

イオンプロでは外観を他の車と同じように直して、ミュージカルの初期の宣伝用(下の写真)に使っています。

 

 分類5:ホバーチキ

特徴:シャシーのないボディだけ
用途:海上を走るシーン
所在:撮影の後に解体、プラネットハリウッド、展示のチキにヘッドライトだけ使用(?)

 これはシャシーのないボディのみのチキで、ボートの上に載せられ海上を走りました。撮影の後はバラバラにされたとされ、さらにワシントンのプラネットハリウッドに展示されるチキに、ヘッドライトのみ使われたとする説があります。

 

 以上、5台のフルスケール車が撮影に使われたと見ました。

  

様々な情報で惑わされましたが、画面を追ってみるとほとんどは1と2で撮影されていました。

ピクトン氏が「4台あまり」と言ったのは、一応タイヤのついたモックまでを本来のロケ車、ホバー用を「あまり」と認識していたのでしょう。

ダイク氏が「6台だったかな?」と言ったのは、2の牽引時とクレーン時を別の車両と勘違いしたためではないでしょうか?

 

しかし、この5台中から出来の良い1、2を買い取り、エンジンを載せて2を売ったピク爺は憎らしいほど賢いですね。

2台目を売り払ったことをコレクターズエディションDVD収録のインタビューで話さなかったのも作為的で、そこから最初の考察の誤解も始まったのでした。さすが根っからの興行師だけのことはありますねぇ(苦笑)。