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近代発明家列伝【映画『チキチキバンバン』考察】

『チキチキバンバン』の舞台となっている20世紀初頭は、まさに近代科学機械文明の萌芽と呼べる時代。

このコーナーではその科学機械文明を創り上げた歴史上の偉人たちの生涯を、挿入歌「栄光のバラに」の歌詞(巻末に掲載)や劇中のセリフに準拠しながら紹介していきましょう。

19世紀初めから20世紀半ばまでの発明家たちの活躍年表

1804年 リチャード・トレヴィシック:蒸気機関車の初期モデルを作る
1821年 マイケル・ファラデー:電動機の原理を示す
1826年 ヨゼフ・ニエプス:金属板に最初の写真を撮影
1859年 チャールズ・ダーウィン:『種の起源』出版
1869年 ドミトリ・メンデレーエフ:化学元素の周期律表を発表
1876年 アレクサンダー・ベル:電話機を発明 
1877年 トーマス・エディソン:最初の型の蓄音機を発明  
1879年 トーマス・エディソン:電球を発明
1880年 アレクサンダー・ベル:音声を光によって伝達する電話機を発明
1885年 ルイ・パストゥール:狂犬病ワクチンの実験に成功  
1888年 ハインリッヒ・ヘルツ:電磁波を実験で証明
1893年 ルドルフ・ディーゼル:最初の内燃機関を発明
1895年 グリエルモ・マルコーニ:無線電信に成功  
  カール・ベンツ:世界初の内燃機関による車両を発明
1900年 ファルディナンド・フォン・ツェッペリン:硬式飛行船を完成。1910年に商用空輸を開始
1903年 ライト兄弟:飛行機で最初の飛行に成功
   
1910年 チキチキバンバン号完成
   
1915年 アインシュタイン:一般相対性理論を発表
1924年 ウラジミール・ズウォーリキン:テレビ受像管を発明
1926年 ロバート・ゴダード:液体燃料ロケットを発明
1936年 ツェッペリン社ヒンデンブルグ号就航
1941年 イゴール・シコルスキー:ヘリコプターで1時間を超える飛行に成功
1955年 クリストファー・コッカレル:ホバークラフトを発明
   
※この項目では太字の発明家を取り上げる予定ですが、こうして見てみると、
 カラクタス・ポッツはまさに近代科学の基礎が築かれた時代を生きた発明家なんですね。

  

「パスツールも失敗を」(Disaster didn't stymie Louis Pasteur.=パストゥールは大失敗にも窮することはなかった)

ボンバースト男爵から海を走る車を作れと命じられ途方に暮れるおじいさん(バンジー・ポッツ)のために学者たちが歌う「栄光のバラに」。

この歌に励まされたおじいさんが「パスツールも失敗を」と歌っていますが、パスツールとはどんな人物なのでしょう?何をした人物なのか?

そして、どんな失敗をしたというのでしょうか?

 

ルイ・パストゥール(Louis Pasteur/1822~1895/仏)は病気の「自然発生説」をくつがえし「細菌説」を発表(1860)したり、ワインや牛乳を50~60度に熱し、味に影響をあたえずに殺菌する「低温殺菌法」の発明(1865)、『細菌説、およびその医学と手術への応用』を発表(1879)、狂犬病ワクチンを発明し(1885)、「予防接種」の基礎を作った科学者です。

高等師範学校時代に頭角を現し、大学の講師を務め、学長の娘と結婚。

理科大学の化学教授や学部長に就任するなど典型的なエリートコースを進みました。

「低温殺菌法」をはじめとする優れた発明により賞や名声も得て、科学アカデミーにより自分の名を冠した「パストゥール研究所」も設立されました。

また、パストゥールが育てた助手たちも後に偉大な科学者となっています。

近代医学を飛躍的に発展させたもっとも偉大な科学者のひとりと呼んでも過言ではないでしょう。

 

こんなパストゥールですが、1865年にはじめた「カイコの伝染病」の研究で大きな失敗をしました。

正常な卵の選別法に間違いがあり、養蚕業者に大損害を与えたのです。

しかし、パストゥールはあきらめずに実験を続け、原因が「生きた細菌」にあり、感染すると数を増やし、フンを通じて広がることを発見したのです。

この経験から、その頃パリで発生していたコレラの原因が細菌ではないかと考え、細菌が伝染病をひき起こすことをつきとめ、歴史に名を残すことになったのです。

 

「海を走る車を造れ」と命じられ絶望の中にいたバンジーおじいさんも、パストゥールを成功に導いた「偉大な失敗」を思い出し、勇気を取り戻したわけですね。

 

1880年、ヒヨコに感染する「ニワトリコレラ」について実験する予定でしたが、大学が夏休みに入ってしまい、元気なヒヨコに培養した菌を注射する行程を休み明けに行ったのです。

これは助手のシャルル・シャンベランのミスでした。

さて、ヒヨコの観察を続けると実験は失敗したかに見えました。

菌の接種を受けたヒヨコたちは一時的に病気になったものの、間もなく回復したのです。

パストゥールはこの事からひとつの仮説を立てました。

夏休みの間に菌の力が弱まり、菌に耐えられたのだと。

そして、1796年にイギリスのエドワード・ジェンナーが見つけた牛痘と天然痘の話(家畜や家畜を飼う人々が牛痘にかかると、ずっと恐ろしい天然痘に対する抵抗力を持つというもの)を思い出し、弱い菌に耐えたニワトリ(休み明けにはヒヨコだった)と新しいニワトリに、強い菌を注射しました。

実験結果はパストゥールの仮説を裏付けるものでした。

新しいニワトリは全滅し、以前弱い菌の接種を受けたニワトリは生き残ったのです。これが予防接種のはじまりです。

 パストゥールはこんな言葉を残しています。

「幸運の女神は用意した心に舞い降りる」

バン爺からカラタクタスへの裏メッセージなのかと思い、ちょっとジーンとしました。 ホント侮れません。

 

「エジソンもつまずいた」(Edison took year to see the light.)

生涯に1300以上の特許を取得した発明王エディソン。

商売的にも大成功した世紀の天才が一体どんな失敗をしたというのでしょうか?

 

トーマス・エディソン(Thomas Edison/1847~1931/米)。

後の大発明家も子どもの頃は学校になじめなくて初等教育をわずか3ヶ月しか受けず、大部分を母親から授けられました。

しかし、10才のときには自宅の地下室に研究室をつくり、科学の実験に熱中するなど、すでに科学への興味と才能があったようです。

面白いのは、12才の時。鉄道でキャンディの売り子をしていたのですが、向こうの駅でついでに仕入れた物資を地元で売ったり、忙しくなると友達を雇ってバイトをさせ、さらには時刻表や沿線の情報を載せた新聞を執筆、編集、発行するなど、かなり非凡な商売センスを発揮しています。

このあたりポッツに見習って欲しいものですが、バンジー爺にもそんな気持ちがあったのでしょうか?

  

で、エディソンの失敗ですが、細かいことをいうと結構ありました。(笑)

子どもの頃、妙な薬を友達に飲ませて具合を悪くさせた、火薬の実験で大爆発を起こした、電信技師となり鉄道に就職したが、深夜の定時信号を、自分が開発した自動送信装置にさせていたのがばれてクビ!

(ある意味この装置ってスゴイですよね。定時に信号を送るだけならこれでいいのに…上司は理解できなかったのでしょうか?それなりに大発明だと思うのですが…)などなど。

基本的に常識がなく、浮き世離れしていたために招いた失敗がほとんどです。

では、バンジーが言いたかった失敗は?

「僕は1度だって失敗していない。駄目な組み合わせを数多く発見したことはあったが」by エディソン

 

あのエディソンも、電球を発明するまでに約2万回も失敗を繰り返しました。

が、しかしエディソンに言わせると、成功への道を探るためのプロセスに過ぎなかったのです。

その言葉はまさに「栄光のバラに」の精神そのものといえます。

 

「エジソンもつまずいた」。

これは、多くの失敗を糧にして成功をつかんで欲しいという、バンジー爺からポッツへの深い愛情が隠されたメッセージだったのです。

また、チキの舞台となる1910年当時には、既にエジソンは発明家としてより、実業家として成功していました。

言うまでもなくポッツにかけていたのは、発明を商売に活かすセンスです。

ポッツにエディソンのこうした部分を見習って欲しいと願いながら歌っていたのかなと思うと、またまたジーンとしてきました。

 

「マルコーニによれば…」

「栄光のバラに」の歌には出てこないんですが、トゥルーリーに無線利用の映写機(劇場パンフではファンタジックビジョン)について聞かれたポッツ氏が「マルコーニによれば…」と説明しかかるシーンがあります。

トゥルーリーがすぐに別のものに興味を移したので話はそこで途切れましたが、このマルコーニについて調べてみましょう。

 

グリエルモ・マルコーニ(Guglielmo Marconi・1874~1937)は独学により物理学を学び1895年に電波を使って無線で信号を送る装置を発明し、「無線の父」と呼ばれるイタリアの発明家で、1909年ノーベル物理学賞を受賞しています。

1895年に無線機を発明した後イギリスに渡り、1901年12月にイギリス-北アメリカ間でモールス信号での「S」の送受信に成功しました。

『チキチキバンバン』の舞台は1920年頃のイギリスなので、ポッツ氏が、無線に関する最先端であるマルコーニの研究に目を向けたのは当然だし、電波で信号を送ることができるとみるや、いち早く映写機の無線化を試みるあたりにもポッツ氏の並々ならぬ先見性と同じ独学仲間のマルコーニへのライバル意識がうかがえます。

アカデミックな教育を受けていないマルコーニは、イギリスに渡るまでは当時の学界や政府機関に相手にされなかったので、ポッツ氏が自分の境遇と重ね合わせ、心の糧にしていたとしても何の不思議もありません(笑)。

 「アレキサンダー・グラハムもてこずった…」

電話の発明者としてあまりにも有名なアレクサンダー・グラハム・ベル(Alexander Graham Bell/1847~1922/スコットランド生まれ)。

はじめは教師をしていたベルでしたが、勉強のしすぎから病気になり、療養も兼ねてカナダに移住。やがて病気が治るとボストン大学の音声学教授になります。

この頃、ベルは、口と耳の不自由な人のために音響の波動を目で見る機器ができないかと考えましたが、結局この機器の発明は失敗に終わりました。

今回、何冊もの伝記を読みましたが、ベルの目立った失敗はこれだけでした。

しかし、これを失敗と呼ぶのはどうですかね?

むしろ、1870年代にこのような発想をしたというエピソードは、ベルの非凡さを物語っていると言えます。

ま、ともかくそういった研究を続けていたのですが、電信技術で信号を送れるのなら、

音声も送れるのではないかと考え、1875年に音を、1876年に言葉を伝えることに成功し、AT&Tを設立。米国地理学協会の創立に関わり、学会誌『サイエンス』を創刊するなど、地位も勲章も賞も富も手に入れました。

 

ベルはこんな言葉を残しています。

「時には踏みならされた道から外れ、森の中に入ってみなさい。そこではきっとあなたが今まで見たことのない何か新しいものを見い出すに違いありません」。

これまさに挿入歌「栄光のバラに」の精神ですよね。

「栄光のバラに」 The Roses of Success 歌詞

Every bursted bubble has a glory!
Each abysmal failure makes a point!
Every glowing path that goes astray,
Shows you how to find a better way.
So every time you stumble never grumble.
Next time you'll bumble even less!
For up from the ashes, up from the ashes, grow the roses of success!

Grow the roses!
Grow the roses!
Grow the roses of success!
Oh yes!
Grow the roses!
Those rosy roses!
From the ashes of disaster grow the roses of success!

(spoken)Yes I know but he wants it to float. It will!

For every big mistake you make be grateful!
Here, here!
That mistake you'll never make again!
No sir!
Every shiny dream that fades and dies,
Generates the steam for two more tries!

(Oh) There's magic in the wake of a fiasco!
Correct!
It gives you that chance to second guess!
Oh yes!
Then up from the ashes, up from the ashes grow the roses of success!

Grow the roses!
Grow the roses!
Grow the roses of success!
Grow the roses!
Those rosy roses!
From the ashes of disaster grow the roses of success!

Disaster didn't stymie Louis Pasteur!
No sir!
Edison took years to see the light!
Right!
Alexander Graham knew failure well; he took a lot of knocks to ring that bell!
So when it gets distressing it's a blessing!
Onward and upward you must press!
Yes, Yes!
Till up from the ashes, up from the ashes grow the roses of success.

Grow the ro
Grow the ro
Grow the roses!
Grow the ro
Grow the ro
Grow the roses!
Grow the roses of success!

Grow the ro
Grow the ro
Grow the roses!
Those rosy ro
Those rosy ro
Those rosy roses!

From the ashes of disaster, grow the roses of success!
Start the engines!
Success!
Batten the hatches!
Success!
Man the shrouds!
Lift the anchor!
Success!