運動会のBGM、文○堂のCMソングとして有名なこの曲は、1858年にパリで初演されたオペレッタ(喜歌劇)、原題「地獄のオルフェ」の序曲の一部です。
「地獄のオルフェ」は、真面目な夫婦愛のギリシア神話「オルフェウスとエウリディケ」を完全にドタバタ、オチャラケにしたパロディ作品。
日本には明治or大正時代に初演され古くから根深い人気があります。
序曲の最後の部分が、今流れているギャロップ(非常に速い2拍子の舞曲、または馬の駆け足の意)で、フレンチカンカン(踊り)のBGMとして使われたことからこの部分が特に有名になり、単独して演奏されるようになりました。
俗にこの曲を「カンカン」、「カンカンポルカ」等とも呼んでいます。
また、この序曲は複数存在するようですが現在親しまれているのは、1860年にカール・ビンダーが編曲したものです。
▲ロートレック:1896
オッフェンバック(1819年~1880年)は、ドイツで生まれ、のちにフランスに帰化しました。天国と地獄で一躍有名なり、以後数々のヒット作品を産みました。
わかりやすくて軽妙洒脱な作品が多く、ともするとクラシックらしくない、と評されますが、色彩豊かでお祭り騒ぎの超明るい音楽を作るのは、実は大変難しかったりします。世紀末前の古き良きパリを駆け抜けた作曲家の一人でしょう。
◆「地獄のオルフェ」あらすじ(C級再現フィルム仕立て)
ギリシア神話の「オルフェとエウリディケ」は、毒蛇にかまれて死んでしまった妻エウリディケを、夫オルフェが黄泉の国まで命がけで取り返しに行きます。
しかし、最後の最後でオルフェは約束を破ってしまい、妻とは永遠にあうことができませんでした。という哀しいお話です。
でも、オッフェンバックのオペレッタは、妻が死んでしまって、「こらえてもこらえても笑みが浮かんでしまうオルフェ・・・」が基本です。
◆登場人物◆
オルフェ:音楽教師
エウリディケ:オルフェの妻
プルート:地獄の使者(エウリディケの恋人、羊飼いに化けている)
ジュピター:神々の長
世間:一般大衆という象徴的役割で女声が演ずる
ここはギリシアのとある場所。
音楽教師のオルフェは妻にすっかり飽きていた。
ふっ、何であんなに気ばっかり強くなるんだ・・・。
妻エウリディケも負けじと夫には飽き飽き。
毎日聴かされるヴァイオリン・・・ったく、うざいのよね。
妻は恋人(羊飼い)との密会に命を懸けていた。
夫にもかわいい愛人(ニンフ=精霊)がいた。
お気楽三昧のふたりに突如、事件が。
エウリディケが毒蛇にかまれて死んでしまった。
オルフェは思わずガッツポーズ。(やったぁ~~♪これで堂々と遊べるぞ)
喜び勇んで出かけようとすると、おばちゃん(世間)登場。
「あんたっ、まだ初七日も済んでないってのに!どーゆーこと!!
地獄へ行ってきたらどーなの。それが夫ってもんでしょ、キィーー」
「え、行くの?やっぱ?」
おばちゃんに首根っこつかまれ、しぶしぶオルフェは地獄へ向かった。
しかし、地獄へ行くには何故かいったん天国に行ってこなきゃなんないメンドーなシステムがあった。
おばちゃんとともにオルフェは、仕方なく「妻を返してください」と天国の会長、ジュピターさまに言ってみた。
そんじゃってんで、ジュピターとプルートとみんなで地獄へ検証しに。
一方、地獄でエウリディケは退屈しきっていた。地獄に行ったらプルートと毎日ラブラブと思いきやヤツの態度は一変。
(ちっ、これだったら、まだヘタクソなオルフェのヴァイオリン聴いてた方がマシだったわ、つまんなーい)
しかし、妙なフェロモン出してるエウリディケは、天国から検証に来たジュピターに一目惚れされてしまった。ジュピターはお役目ほっぽり出し、「おれんとこ来ない?」と口説くと、退屈しきっていたエウリディケもふたつ返事でおっげ~♪でもプルートってば、なにげにしつこいしぃ。
そだ!巫女の姿に変身してクラブ行ってぇー、隙を見てジュピターと逃げよーって感じぃ。
クラブ「地獄」では、カンカンに合わせてみんなはじけまくり!
よしよし、この騒ぎならいいかも。
どさくさにまぎれて逃げようとしたらプルートにみつかってしまった。
ちっくそおおおおおおーーーー
ジュピターは苦々しくもエウリディケをオルフェのもとへ帰す事にした。
しかし、ムカつくから「家に着くまで絶対に後ろを振り向いて妻を見てはいけない」ちゅう条件つけてやった。
オルフェはおばちゃんに小うるさく励まされながら、後ろを見ないようにしてた。あと少しで家へ着く頃、ジュピターが鳴らした雷鳴がなった。
元々注意力散漫なオルフェ。その音にびっくりして、あっけなくふり向いてしまった。
プルートはエウリディケを地獄へ戻すべきだと主張したが、ジュピターは神々の長である権限でもって「神殿の巫女にする」と宣言した。
おばちゃんは地団太踏んで悔しがる。
もちろん、オルフェは喜んで笑いながら帰って行った。