キャンディーズ『春一番』にまつわるエピソード

いわずと知れたキャンディーズの大ヒット曲です。

ご存じの方も多いと思いますが、もともとはアルバム『年下の男の子』の中の1曲でした。ライブ等で非常に人気があり、キャンディーズの3人も気に入っていたということでシングルカットされ大ヒット、キャンディーズの代表曲となりました。アルバムバージョンではドラムやベースが前面に出た派手目なアレンジになってますが、シングルバージョンではもう少しソフトになってます。

この曲の特長として、ちょっと童謡チックな歌詞が上げられます。作者穂口雄右氏の考えたコンセプトは「スタンダードナンバーを作りたい」ということでした。一過性の流行歌ではなく、のちのちまで歌い継がれる曲を作りたいという思いがあったのです。そのため、その時その時の流行り言葉などではなく、いつの時代でも通用するような言葉・歌詞を選んだのですね。

その歌詞ですが、当初は今まで通り千家和也氏が書く予定でした。そのため穂口氏ができた曲を千家氏に渡す際に、「こんなイメージで」ということで譜面に仮の歌詞を書き込んで渡したそうです。その仮の歌詞を見てその良さを認めた千家氏が「これは全部穂口さんに書かせた方がいい」と言ったため、穂口氏が全部歌詞を書くことになったとのことです。

もう一つの特長はシンプルなメロディ。キャンディーズの曲には珍しく、ほとんどユニゾンで唄われていますね(ハモリが入るのは最後のサビの1フレーズだけ)。この辺も、「難しいコーラスを多用するより、誰もが唄いやすい曲を」という狙いだろうと思います。

テンポの良さというのもこの曲を活かしています。なにしろレコーディングの時、演奏したスタジオミュージシャンたちがそのテンポの速さに戸惑ったと言われているくらい、当時としては異例のテンポの速さだったようです。
その証拠というか、普通テレビなどで生演奏される際は、レコードよりも若干速めのテンポになるのが常ですが、『春一番』に限っては(MMPが演奏する時以外は)逆に遅くなってましたからね(笑)。

そして30年経った今でも春になるとどこかで必ずこの曲を耳にします。
”キャンディーズ”は知らなくても『春一番』は唄えるという若者もたくさんいます。作者の狙い通り、『春一番』は見事にスタンダードナンバーとして残ったといえるでしょう。やはり名曲ですね。